顕微鏡の基礎

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6. 各種観察法の基礎

6. 8 反射照明観察法 Reflected light (Incident light , Epi-illumination, Metallurgical) microscopy

これまで述べてきた観察法は、生物試料などを照明しその透過光や蛍光により観察するものですが、 金属やセラミック材料など光を透過しない試料を観察する場合は、照明の反射光を利用します。標準的な反射明視野観察の照明光学系を図6-17に示します。

図6-17 反射明視野法の光学系・図6-18 反射暗視野法・図6-19 反射微分干渉法

光源からの光はハーフミラーにより反射され、対物レンズを通して試料を照明します。試料からの反射光は対物レンズを通りハーフミラーを透過して 像を結びます。反射照明法においても暗視野法や微分干渉法がよく使われます。図6-18は反射暗視野法の光学系で、絞りによりリング状となった照明光は穴あきミラーで反射され、暗視野用対物レンズの胴内の照明光路を通りリング状のレンズ又はミラーにより試料を照射します。試料による散乱・回折光のみが対物レンズを通して像を結びます。細かいキズや段差の部分が輝いて観察できるため、試料表面の検査法として有効です。次に、反射微分干渉法の光学系を図6-19に示します。光源からの光は照明光路にあるポラライザにより直線偏光となり、ハーフミラーで反射され、ノマルスキープリズムで互いに直交する振動方向を持つ2つの直線偏光に分離し、分解能以下の横ずれ(シア)量で試料を照射します。試料から反射した2つの直線偏光は、再びノマルスキープリズムにより結合し、アナライザを通過後に干渉して試料の段差(位相差)の微分係数に相当したコントラストの像が得られます。またプリズムを水平方向に移動することにより鋭敏色を含むコントラストの調節ができます。反射微分干渉法も反射明視野法で検出できない試料の微小な凹凸が検出しやすくなるため、検査工程で広く使われています。図6-20に反射明視野・反射暗視野、反射微分干渉による集積回路の同一視野画像を示します。

図6-20 反射顕微鏡による集積回路の写真