顕微鏡の歴史

ここから本文です

6. 各種顕微鏡と周辺機器の始まり

6-5 暗視野顕微鏡

標本を照射する照明光が、対物レンズに直接入らないようにし、真っ暗な背景に標本が輝いて見える暗視野法は、1850年にウェナム(前出)が暗視野コンデンサを発明したことに始まります。また1903年、ジグモンディ(前出)はツァイス社のジーデントップ(前出)と共に同じ原理の顕微鏡を開発し、通常の顕微鏡の解像力よりはるかに微小なコロイド粒子の観察を行い、この顕微鏡を限外顕微鏡Ultramicroscopeと名付けました。

ジグモンディは、この研究成果で1925年にノーベル化学賞を受賞しました。更にその後ツァイス社は、暗視野観察のための特別なコンデンサを開発し、ウルトラコンデンサとして発表、直径5nmと顕微鏡の解像限界の40分の1の金コロイド粒子の観察を可能にしました。

一方、ライツ社からは、照明光束が対物レンズの外径を通り落射照明方式の暗視野顕微鏡がウルトロパークUltropakの商品名で発売され、この方式は現在でも落射暗視野の基本的な構造となっています。